流しのしたの骨

著者 :
  • マガジンハウス (1996年7月1日発売)
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本棚登録 : 801
感想 : 122
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うちの中を覗くのって面白いなぁと思わせてくれる小説。

その家庭だけの空気があり、階段の軋み方も違えば、薬箱の中身も、よく口にされる冗談も、タブーも、思い出も、違う。

だからこそ、あとがきで作者が語るとおり、たとえお隣であってもよそのうちは外国より遠い、わけです。

その家庭だけで通じるルールがあり、その家庭だけの真実があり。

「家庭」というのは本当に小説にとってなくてはならない要素であり、小説の題材としてとても魅力的です。

当たり前のことなんだけど、そんなことに江國さんのあとがきではっと気づかされました。


話としては、一風変わった変な家族のおはなし。

普通じゃなくて、でもきっとその家庭の中ではそれが普通で。

その辺のちぐはぐな自分の感じ方もなんか妙でおもしろくて。

盛り上がりも息を飲む場面もない変わりに、なんとなく、落ち着いてしっとり楽しめる小説だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 江國香織
感想投稿日 : 2014年2月4日
読了日 : 2009年8月23日
本棚登録日 : 2014年2月4日

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