うちの中を覗くのって面白いなぁと思わせてくれる小説。
その家庭だけの空気があり、階段の軋み方も違えば、薬箱の中身も、よく口にされる冗談も、タブーも、思い出も、違う。
だからこそ、あとがきで作者が語るとおり、たとえお隣であってもよそのうちは外国より遠い、わけです。
その家庭だけで通じるルールがあり、その家庭だけの真実があり。
「家庭」というのは本当に小説にとってなくてはならない要素であり、小説の題材としてとても魅力的です。
当たり前のことなんだけど、そんなことに江國さんのあとがきではっと気づかされました。
話としては、一風変わった変な家族のおはなし。
普通じゃなくて、でもきっとその家庭の中ではそれが普通で。
その辺のちぐはぐな自分の感じ方もなんか妙でおもしろくて。
盛り上がりも息を飲む場面もない変わりに、なんとなく、落ち着いてしっとり楽しめる小説だと思います。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
江國香織
- 感想投稿日 : 2014年2月4日
- 読了日 : 2009年8月23日
- 本棚登録日 : 2014年2月4日
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