天上の虹(10) (講談社漫画文庫)

著者 :
  • 講談社 (2013年7月12日発売)
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本棚登録 : 100
感想 : 6
4

たくさんの登場人物がいるこの作品。
今回もそれらの人物が織りなす様々な出来事が描かれています。

歴史書の編纂を任された忍壁皇子(おさかべのみこ)の苦悩とその妻との心のすれ違い。
藤原史の義理の息子である新田部皇子と氷高皇女の恋の行方。
宮子の妊娠、出産・・・。

個人的にはあまり心揺さぶられるような話はなかったけど、その中で印象的だったのは安麻呂という12歳の少年の登場、そして彼が持統天皇である讃良に斬りかかる場面。
実は安麻呂は謀反を起こし死ぬこととなった大津の息子。
それで父親の処刑を命じた讃良を恨みに思いそういう行動を起こした。
それに対する讃良の対応がまた圧巻!
これぞ、女帝よ!というものでした。
ものすごい貫禄!
見る目を変えたら少年、安麻呂に同情的な気持ちになっていたんでしょうが、どうしても主人公である讃良に肩入れしてしまう・・・。

それとこの10巻でも相変わらず頼りない珂瑠(讃良の孫)にはイライラしてしまった。
譲位はしたものの、今だに亡くなった紀皇女の事が忘れられず、政治よりも彼女の墓の事ばかり考えて・・・さらに、宮子に子供が出来たと知った時、生まれてくる子は女の子であって欲しいと言ったりする。
女の子ならば紀皇女の生まれ変わりだから・・・と。
ずっと仕えてきて、愛してきた男性にそんな事を言われた女はどうなる?
その後、宮子は心を病み、自分が産んだ子供に会う事もなく、36年間引きこもりになる。
あまりに残酷・・・。

讃良も自分が亡くなった時は火葬にしてほしいとか、もうそんな事まで考えているし、氷高皇女は弟の珂瑠があまりに頼りないので結婚しないで国に身をささげるとまで言っているのに、当の本人はこんな調子で・・・この国大丈夫かね?と思わず不安を感じずにはいられません!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 少女マンガ
感想投稿日 : 2013年8月9日
読了日 : 2013年8月9日
本棚登録日 : 2013年8月9日

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