フローリアの告白

  • NHK出版 (1998年10月1日発売)
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本棚登録 : 77
感想 : 7
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手紙の宛名は聖人アウグスティヌス。
差出人は彼のかつての愛人だったフローリアという女性。
二人はどんな出会いをして、どのように別れたのか。
フローリアの手紙から真実が見えてくる。

手紙の内容はひと言で言えば、男の不実ぶりを綿々と書き綴ったもの。
こういうのを長々と書くのはどんな女性?と思うけど、文面を見る限りではフローリアは聡明な女性だと感じました。
そんな女性が心の内にずっとためていたものを吐き出した手紙。
これは、高潔な聖人にとってはさぞや見たくない手紙だったろうと思います。
過去の自分の見たくない部分を赤裸々に見せつけられてしまった・・・。
ただ、この手紙がアウグスティヌスの手に届いたのかどうかは定かでないそうです。
ラテン語で書かれたこの手紙をブエノスアイレスの蚤の市で見つけ訳し、こうやって一冊の本にしたのは「ソフィーの世界」のヨースタイン・ゴルデル。
作者の名前はすっかり忘れていてふと手にした本ですが、何となく無意識に覚えていたのかな~という気がしました。

フローリアが書いてあるように、何かを頑なに禁じるという事はむしろそれに振り回されているという事なのだと思います。
『愛することや食べることがわたしたちをあまりに楽しませて困るのなら、これらをあやつる技を身につけさえすればいいのです』

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外小説
感想投稿日 : 2013年7月18日
読了日 : 2011年12月1日
本棚登録日 : 2013年7月18日

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