14歳のアウシュヴィッツ ─ 収容所を生き延びた少女の手記

  • 白水社 (2011年10月8日発売)
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感想 : 11
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著者がアウシュヴィッツ収容所にいた当時-14歳の頃に書いた手記を本にしたもの。
この日記が唯一、収容所から持ち出された日記だそうです。

タイトルから大体の内容は想像がつくので覚悟して読み始めました。
この本の中には読むには耐え難いようなつらい事も書かれているのだろうと・・・。
確かにその通りでした。
人がモノのように扱われ、そして殺されていく・・・。
それなのに、何故か読んでいて何も感じない。
むしろ悲しみや怒りの替わりに疑問ばかりが浮かびました。

これ、本当に14歳の少女が書いた文章?
それにしてはあまりに世慣れた人間が書いたような・・・。
そして、自分の仲間が次々と殺されていく、または虐待されているというのにこの淡々とした文章は何だろう?
まるで生きた人間を劇の登場人物のように書いている。
同じ血をもつ民族への慈しみとか労りのようなものがここからは感じられない。
そのように感情をなくさないと生きられない状況下にいたという事だとしても・・・。
そして、何故こうなったという事がとても分かりにくい。
本人は正にその中にいる訳だから分かりに切ってる事は書かないわけで、収容所の中のことや習慣をほとんど知らない人間にはイメージしにくい文章。
日記だからそれは仕方ないとは思うけど・・・。

また14歳という記憶力の優れた頃に書いたとは言え、ここまで会話などを事細かにちゃんと覚えているものかな?
さらに言うと、この本はかなりページ数の多い本ですが、それをノートや紙のきれっぱしなどに書いた場合、かなりなボリュームになるはず。
そんな日記をよくあの中でなくさずにもっていられたものだと思いました。
持ち出せたのは奇跡だと書かれていますが、確かにそうだと思います。
さらに穿った事を書くと、本書に石工が出てくる場面があり、それを見てもしや何らかの力が働いてるのでは?とそこまで考えてしまいました。

まあ、そんな風に考える私の心が一番くすんでるのだと思う。
この本を読んでそんな見方をする人はほとんどいないだろうと思います。
この本は著名な作家に絶賛され、現在、スペイン、ルーマニア、チェコ、オランダ、アメリカといった国々でも出版されており、著者は「ルーマニアのアンネ・フランク」として知られているそうです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2013年7月15日
読了日 : 2012年3月21日
本棚登録日 : 2013年7月15日

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