よくわかる作曲の教科書

著者 :
  • ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス (2009年12月23日発売)
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感想 : 10
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あとがきに興味深いことが書かれている。作曲をしようと考える人にとって、「もはや誰も作ったことのない斬新な曲は作れないのではないか」という疑問があるだろうと。確かに、それはちょっと前から感じていることだ。1993年にフジテレビである番組が放送され、そこで考察がされているとのこと。観た記憶がないのだが、要するに、音楽というのは単純な曲からやがて複雑な方向へ進んで行き、やがて誰もが気持ちよいと感じなくなったところで衰退すると。歴史的にはクラッシックの後に、ジャズが生まれ、その後にロックが生まれた、という。ジャズが衰退したという認識がなかったのだが、言われてみればそうなのかも。そして、ロックもハーモニーをやりつくして手詰まりになり、じゃあ、リズムを複雑にしていったのが、ラップやダンスミュージックだと。ラップはハーモニーを放棄したジャンルに行ってしまったのだと。16世紀に生まれた平均律に縛られる限り、われわれが親しんできた音楽はある意味もう何もかもやりつくして、新しい音楽はもはや生まれないのかも。著者は、いやいや、そんなことはなく、われわれにとって、クラシック、ジャズ、ロック、ブルース、ボサノバ、さまざまなジャンルが材料として存在し、それらから新たな創作が生まれてくる可能性はあると、まとめている。そうだろうと思う。

なかなか面白いあとがきだった。

本書の中身は、分かりやすくてよかったと思う。前半は作曲に必要な発想方法、考え方が中心。最後はコード理論をサンプル音源もふんだんに用意して、難しくならないようにうまく解説していると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年4月28日
読了日 : 2015年7月2日
本棚登録日 : 2017年4月28日

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