大好きな作家さんの佐藤さん、今回は、ドイツ第三帝国下のスウィングボーイズの物語。
佐藤亜紀さんは、不幸な事件のせいもあって、あまり話題にはされてませんが、実は好きな人がメチャ多い作家さんです。最近だと黄金列車もすごく良かった。
ナチスに頽廃音楽とレッテルされた音楽や美術作品は多々あるなか、ドイツに浸透していたスウィングジャズにハマった悪ガキの物語、ゲシュタポの排斥が進むなかで、隠れてスウィングスウィング、ある意味楽しい青春譚が繰り広げられるものの、時代の流れは暗雲立ち込め、ハンブルク大空襲を山場に生活瓦解となるなかで、そのような陰鬱さを感じさせないスピードで悪ガキが走り続けた物語。悪ガキベースだからポジティブな文調であまり気分が重くならずに一気に読める。角川文庫版の須賀しのぶさんの解説の最後がよかった。
「心から自由を失った時、人は人でないものになりさがる。疑問も持たなくなるから楽かもしれないが、そんなものになりたくはない。
スウィングしなけりゃ、人生に意味はないのだ。」
最新作の「喜べ、幸いなる魂よ」は18世紀フランドルの物語。積読からいつ取り出そうか、楽しみです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年9月15日
- 読了日 : 2022年9月14日
- 本棚登録日 : 2022年9月14日
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