結果を出すリーダーはみな非情である

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  • ダイヤモンド社 (2012年10月26日発売)
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結果を出すリーダーはみな非情である。
上手いタイトルを付けますよね。中身が気になってつい手が出てしまいます。

オビにはこうも書いてあります。
組織内で楽なのは「あれも、これも」の議論だ。だが、意思決定は「あれか、これか」の引き算でなければならない。

そう。そうなんだよね〜。で、お買い上げです。ちょろいもんです。

著者の冨山和彦氏はボスコンなどを経て、2003年に産業再生機構のCOOに就任。その後も、様々な企業の社外取締役や社外監査役、政府関連委員を務めておられる方です。

ところで、産業再生機構のCOOってどうやったらなれるんですかね。少なくとも、コンビニに売ってる就職情報誌では募集していないようです。

サブタイトルである「30代から鍛える意思決定力」からも推測できるように、課長クラス(ミドルリーダー)を対象にした内容になっていて、とにかくお尻を叩きまくり、闘争心を掻き立ててくれる言葉にあふれています。

普段の読書では、どちらかというと結構なスピードで1冊を一気に読み切ってしまう自分ですが、今回だけは何度も咀嚼し、腹に落ちるのを確認しながら読み進めたため、読了するのに2週間くらいかかってしまいました。

考えさせられる部分を赤ペンでぐりぐりと丸で囲んでいったため、かなり汚くなってしまいましたが、その中から幾つかご紹介しておきたいと思います。


将来、トップリーダーを目指すミドルリーダーは、「現住所」を現場リーダーに置きつつも、マインドセットの「本籍」はあくまでもトップリーダーに置いて、戦略的な意思決定、現場の中に軋轢を生むような決断からも逃げず、中間「経営職」の職責にあたるべきである。

ミドルマネジメントになったら社長になったつもりで判断し、行動しておかないと、将来社長になったときに何も決められなくなってしまう。

今の役職が課長であっても、最高かつ最終責任者として考え、感じ、決断し、失敗も含めて結果責任を負うことのトレーニングなしに、リーダー研修は成り立たない。

課長の時に責任転嫁ばかりしている人、ストレスから逃げてばかりいる人は、それより上のポジションに上がったとき使いものにならない。意識して自分に負荷をかける、自分をストレスフルな立場に置いてみるくらいのことをやっておいたほうがよい。

報酬に不満を持つ部下に対し、「これは会社の方針だから」「人事部がこういう制度を入れたので仕方ない」では全く失格だ。「カネと人間」の問題から逃げる人間は、もはや課長レベルでも通用しない時代なのである。

本来、戦略的意思決定というのは、何を優先させるか、あるいは右か左のどちらに進むかという議論であり、何かを捨てなければならない。常に引き算の議論、「あれかこれか」の判断なのだ。

現場に近いところにいる課長クラスは、捨てられない戦略的意思決定がもたらす悲劇が一番よく見えるので、情理に流される。鳥瞰的に見ることが必要だ。

部下の人事評価をする際に重要なのは、「成果」と「能力」の2つの軸で評価することだ。

日々の仕事にストーリーを持って臨み、キャスティングを考え、舞台を演出する。それを繰り返すことで、リーダーと役者、双方のスキルが磨かれていく。

人をキャスティングする、仕事を割り振るときに一番やってはいけないのは、ケミストリー(相性)から入ってしまうことだ。

ケミストリーで目が曇ると、一人ひとりの比較優位を客観的に判断できなくなる。結果的に能力を発揮できないキャスティング、戦えないチーム編成になってしまう。

自分とは相性が合わないと思っている相手、どんなに嫌なやつであっても、比較優位は必ず持っている。それを冷静な目で見つめて、能力を最大限に引き出すのが、チームリーダーの仕事である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2015年3月7日
読了日 : 2015年3月7日
本棚登録日 : 2014年11月29日

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