本書は、比較的短めの英文に長めの解説が付されているスタイルですが、その解説には文法や構文に関するものは少なく(「江川先生の英文法解説を読め」で簡単に片付けられてしまうこともしばしば)、多くは、コンテクストの流れや英文においてなぜその表現(例えば過去形)がなされているかの説明に費やされています。
行方先生推奨の本書の正しい利用法は「全訳」です。
行方先生は「正しく読めるようになれば、そして日本語の表現力がある程度あれば、リーダブルな訳文が作れると信じます」(まえがき)と仰られますが、やってみるとそう簡単ではありません。
リーダブルな訳文を作るには、文法・構文レベルの解析から一歩進み、英文の行間を読み解き、日本語の行間に込めなおす作業がどうしても必要です。
本書の解説は、この、行間の読み込みと込め直しのレベルで効いています。
いまどき「英文和訳」は流行らないようですが、いい加減な英文読みでは太刀打ち出来ない上に、セルフチェックも割と簡単にできる(おかしな日本語はすぐわかる)ということから、たまには英文和訳をやってみるのも悪くないと思いました。
英文和訳という方法論の有用性に改めて気付かされるのも、本書の効用でしょう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
語学
- 感想投稿日 : 2014年7月24日
- 読了日 : 2014年7月23日
- 本棚登録日 : 2014年3月27日
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