読書の技法

著者 :
  • 東洋経済新報社 (2012年7月27日発売)
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感想 : 612
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佐藤優氏の本は意外にも初めての購入であったが、氏の知性の高さはすごいと思った。
読書法については、速読モノを中心にいくつか読んだけれどいまいち小手先のテクニックという感がいなめず定着しなかった(大学1年のときに読んだフォトリーディングの本などは確かに役立っているけれど)。昨年就職をし、本当に時間をかけて本を読む時間の確保が難しくなり、切実に速読する必要性が出てきた。そこで、この本に出会ったわけだが、速読だけでなくもっと包括的な本の読み方についての指針が書かれており、非常に参考になった。
半分くらいのことは自分でできているような気がするけれど、残り半分はシンプルながら王道を行く方法で、むしろ佐藤氏がこうしているのなら間違いないと自信を持って実践していこうという気にさせてくれる。

その他感想としては、以下の通り。
・佐藤氏は猫好きらしい。小室直樹はじめ、優れた孤高の思想家は猫好きが多い。これは、スポーツなどをせずに、脱力=創造力の源泉を得る効果的な方法だからかもしれない。
・洋書を読むときに定規を使うことは、新しい指摘。早速試してみたい。
・佐藤氏はメモは大学ノート一冊にまとめている。記録・学習・仕事を時系列に集約。やはりシンプル・イズ・ベストなのでしょう。
・高校の教科書レベルの習得の徹底に同意。自分は工学部出ましたが、はっきり言って数学は単位は取れても、意味などあまり理解できていなかったと思う。それは高校でやる内容・および意識と、大学で教わるときに期待されるレベルが違っていて、急に飛躍的に難しく感じるようになっているからだと思う。そのため、最近多く出ている社会人向けの高校~大学レベルの本を買って、線形代数などの焼き直しをしている。むしろ、受験とか単位とかから開放された社会人のほうが、純粋に数学を楽しめて面白い。課題は、日本史・世界史。これは、もう丸暗記が苦手で高校時代避けて来たのだけど、少し上の年代の人と話していて自分の世代が「世界史が必修でない」ことのギャップを感じるときが、ままある。(その代わり自分は地理が大好きだったので、今アフリカに仕事で行ったりできているのだが。)どうも自分は、今こういう問題があって、その原因は何なのだろう-という勉強の仕方しかできない。これは、もう少し必然性に迫られるまで改善しないような気が。。。
・鳩山首相の知性の高さには、私も同意。安全保障は、うまくいかなくて辞任に追い込まれたけれど、「新しい公共」の定着など民主党政権でしかできなかったであろう仕事もした。小泉さんのように、既得権益にくみしない改革を断行しながら、靖国訪問や国民の心をつかむマスコミ対応など、権力を維持する力量がなかったことが残念。

いろいろ書きましたが、これからより多くの優れた書物を死ぬまでに味わうために、この本はとても参考になると思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発
感想投稿日 : 2013年4月8日
読了日 : 2013年4月8日
本棚登録日 : 2013年4月7日

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