全てにそつがなく、ストレートに愛情表現したかと思えば、子供のように心にスルスルと入り込む。情を交わした10人の女性の視点によって描かれる、モテる男ニシノユキヒコの生き様。ニシノさんを背景に、各章の女性の個性が浮かび上がっていると感じた。
きまって去られてしまう。女は生涯寄り添えない相手と本能的に察知しているから。それはそうでしょうね…思い出はせめて綺麗にしたいから。
読み終えるまでに、ニシノさんの魅力に触れればと思ったけど、なかなか難しかった。関わった女性側の気持ちもあまりわからない(人の気持ちなど、他所のものが容易に理解出来るものではないという事だろう)。しかし、不適切な関係であるのに、生臭さを感じさせない川上弘美さんの品のあるさらりとした心情描写すごくて、特に「しんしん」から面白く読み入った。
愛に満たされることなく飢えて怯える心情が、女性との関りから読み取ることが出来た(なんとなくだけれど)気がする。
強いようで弱い。人の呼び方が様々なように、人は多面的で色々な面を持ち、相手側からの見方で浮き彫りにされるということが伝わりました。
必死に自分を模索しているのに、ふわふわ不思議な空気に包まれ宙を浮いているような余韻が残った。自分の居場所をみつけることは難しそう。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年11月20日
- 読了日 : 2022年11月20日
- 本棚登録日 : 2022年11月20日
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コメント 2件
5552さんのコメント
2022/11/20
kazekaoru21さんのコメント
2022/11/20