日本人とユダヤ人を比較しての日本人論。
両者は対極的な存在のようだがそもそも日本人が特殊なように感じた。
面白かったのは鎌倉幕府を例に取って日本の政治が天才的と評するところ。
天皇を日本教の大祭司、将軍を総督とするニ権分立が成立しこの制度が700年続いた。
筆者の論理展開はこの「日本教」に集約されていると言える。
日本人が無意識に認める「法外の法」、「言外の言」が根本にあり「人間性」を定義している。
言葉を変えればお天道様が見てるとか恥の文化とも言えるのではないか。
これはユダヤ人はじめ理解し難いようだ。
また、ユダヤ人は文章を言葉の数式ととらえるのに対し、日本人の思考はソロバン型ととらえている。
日本語が余りに完璧なため数式化する必要がなく、イメージでとらえるに耐え得るものとしている。
日本語は同じ事象を表すにも単語が多彩で各々の示す意味範囲が狭いため、逆に軽く扱っていることにもなるようだ。
印象深かったのは、日本人の危機意識は「地震・雷・火事・おやじ」でありここに戦争や迫害が意識されていないことへの指摘。
生活の場が戦場になることがどういうことなのかは日本人には永久に知ることがないとしている。
台風も政争も「一過」ととらえその場限りの注意、注目としてやり過ごす。
あまりに安直過ぎることへの警鐘とも取れた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年8月14日
- 読了日 : 2022年8月13日
- 本棚登録日 : 2022年8月14日
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