察しない男 説明しない女 男に通じる話し方 女に伝わる話し方 (五百田達成の話し方シリーズ)

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン (2014年7月30日発売)
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《感想》
著者は女性を崇拝しすぎ、というか女に甘い。初版発行は2014年。恋愛工学や進化心理学がまだ(少なくとも日本では)台頭しておらず、男女論的なデータもそこまで充実していなかった年代ではあるので、男女が互いにどの程度譲歩すべきかを掴むのは難しい部分もあるだろうが。批判的にコメントをすれば、データやなんらかの学説に基づいた議論をやっていない(少なくともそういう出典を明記していない)ので、著者のカウンセラーとしての経験から発せられる数々の主張が偏見なのか統計的な事実なのか読者は判別しようがない。現代ではもう少しデータや進化論的な説明に基づいた議論が充実しているので私は本書をおすすめしない。

《批判》
「男はみんなが好きな女が好き、女は好きの基準がそれぞれ」
→これは逆。みんなが好きな人を好むは実は女性の傾向。良いオスを確実の選ぶために他のメスに選ばれている男を好むようになっている。逆に、男性の女性に対する好みはばらついている。もしくは男性は女性と比べてはるかにストライクゾーンが広い。男性の性欲を甘く見てはいけない。

「男がかわいい女・処女が好きなのは自分に自信がないから」
→これも違う。男性は子どもの父親が自分であることを確信できないような状況を生理的に嫌悪するようになっている。容姿が良い女(≒健康的な女)を好むのは自分の子供を確実に生んでもらうため。要は妊娠確率が高く自分の子ども確実に産んでもらうメスを男性は好む(そういう男性がより確実に子孫を残せる)ので、若くてかわいい処女を求めるようになっている。

3章、結婚/家庭編。
→妻が家計をコントロールすることが前提になっているがこれはあまり良くない。女性は意思決定とそれに伴う結果責任を負うのが苦手が生き物である、ということを知っていると、3章の内容でなぜ女性は家庭でいつもイライラ・ピリピリしているのか(p163)が分かるようになる。

「男性は『手伝ってあげるよ』などと上から目線で家事に取り組まないこと」
→一般に女性は男性に稼得能力を要求して結婚するので家事育児について男性が「手伝う」という立場になるのは当然。家事等の負担に平等を要求できるのは夫と同程度稼いでる妻だけでしょう。

4章、仕事/職場編。
→女性に対する待遇が「リソースに十分余裕がある」という前提で書かれているような気が…。「ご褒美をあげたいなら、年収を上げたり、休みを取れるように」(p202)とのことだが簡単にできること?休みをとったら別の人がカバーしないといけないのでは?

《メモ》
①男はリードせよ。女はそれを察して合わせよ。
②女性は元々家庭を営む性なので、人の行動や仕草に敏感。子どもや家族の健康状態は常に気にかけ、自然とよく観察している。
③女性は記憶力が良い。扁桃体と海馬の連携がスムーズなので感情が刺激されると記憶と感情をセットにして記憶することができる。
④男が自分の見た目を磨くのはそれほど意味はない。
⑤子どもを産んだ直後の女性はホルモンの関係で完全に「母」になる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年4月6日
読了日 : 2023年4月2日
本棚登録日 : 2023年4月2日

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