ヘヴン

著者 :
  • 講談社 (2009年9月2日発売)
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本棚登録 : 4009
感想 : 782
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苛められる僕と苛められるクラスメートと苛める人たち。同じ場所にいるけれど、それぞれの心の在り様と世界の構造は違っていた。

強い斜視の僕はそれが原因でクラスメートから苛めを受け、それに反抗することなく日々を過ごしていたが、もう一人の苛められているクラスメートの女子・コジマから手紙をもらう。

コジマは僕の救いのように思えたがそれはただの彼女の傲慢ともいえる考えだし、イジメの主犯の友人・百瀬に「なぜ苛めるのか」と尋ねると、思いもよらない返事が返ってくる。そして僕はそこから抜け出そうとする。最後、僕の目を通して見えるものはとても美しい。

苛めは凄惨で陰湿。頼りになる大人(特に教師)は物語途中まで全然出てこない。けれど、文章・文体が綺麗なのでなんとか読み進められた、けれど。

14歳のわりに全員が大人びた口調(コジマは女子なのでこの口調はなくはないかな)で違和感を感じ、「どこかで読んだ気がする」という読み心地。「これは、村上春樹では?」という結論に達し(村上春樹は2冊しか読んだことがないというのに)、ブクログのレビューを読むと、他にもそういう方がおられたので、「あぁやっぱり…」と腑に落ちた。

僕とコジマがお互いを「君」と呼びかけたりするところがなんか、うん。

2022年ブッカー国際賞にノミネートということで手にしてみました。

2009年発行ですが読み始めると「内容が古いな?」と思ったら物語の舞台は今から30年ほど前の1991年。書かれた当時でも20年ほど前ですね。なにか意味があるのかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月18日
読了日 : 2022年3月18日
本棚登録日 : 2022年3月18日

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