「月の骨」に始まる、時代と舞台が(登場人物も)微妙にリンクしたシリーズの第四弾。「空に浮かぶ子ども」は映画監督ウェーバーを主人公に才能とモラルのせめぎあいが描かれた“ダーク・ファンタジー”となっていたが、謙虚さとは無縁の天才建築家ハリーを主人公にした今作では、むしろ事象としてはアンハッピーな出来事が起きるにも関わらず、人間の才能が神との関係を取り戻すハッピーエンディングストーリーになっていると感じられる。“犬”は“DOG”であり、“GOD”を指し示す。災害、戦争、悪意、そうしたものが世界を取り巻いていようとも、解決する方法もそれを実現する才能も神は人間自身に与えているのだという、“罪”を巡る物語から一歩進んだ感のあるキャロルの世界観が美しい。
読書状況:読み終わった
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海外:アメリカ
- 感想投稿日 : 2010年10月13日
- 読了日 : 2010年10月13日
- 本棚登録日 : 2010年10月13日
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