十六の話 (中公文庫 し 6-51)

著者 :
  • 中央公論新社 (1997年1月18日発売)
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本棚登録 : 387
感想 : 28
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司馬遼太郎記念館を訪ね、館内の額に掲げられた「二十一世紀に生きる君たちへ」を初めて読んで目頭が熱くなったのは2012年9月の出来事。その時買ってきた「二十一世紀に生きる君たちへ」の記念館特別装丁版をとある人にプレゼントしようかどうか悩んでいた時、その同じ日程の中で持ち帰ってしばらく書棚で順番待ちになっていた本書にその文章が含まれていることを知ったからあっさり踏ん切りがついて手放すことができた。その後の運命も数奇なもので半年とたたないうちに記念館を再訪することになり、あんだけ悩んで手放した本もまた悩まなくてよいように二冊購入して持ち帰ることにした(笑)

そしてその後再渡米してから本書を読了。意外や意外、伏兵現るでこのタイミングでは「訴えるべき相手がないまま」に突き動かされた。理由のひとつはマーク・トウェインの登場。Woody Allen監督のMidnight in Parisの中でHemingwayが主人公に向かって鋭い眼光で聞く。"Do you like Mark Twain?" 回答次第では殴りかかられそうな勢いでである。自分ならどう答えられるであろうか。しどろもどろになるのは明白である。ただ司馬さんはこうした回答を持っていた。アメリカ人ではないからアメリカのことについて知らなくてよいのではない。またアメリカ人ではなくてもアメリカのことは知っていてもよい。「二十一世紀に生きる君たちへ」をアメリカに住む日本生まれの大人向けに書き直しておいてくれたのがこれに違いない。勝手な自分の解釈ではあるが、今後このふたつの文章を交互に読み返し続けたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月31日
読了日 : 2013年2月25日
本棚登録日 : 2023年1月31日

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