久々に長編に挑む。初感は活字の濃さ。
「竜馬がゆく」の冒頭部が会話文主体で物語が進み、そのひらがなの割合にどこかのんびりとした序章が感じられる一方、こちらはそんなことは微塵もない。
幕府→土佐藩→長州藩とそれぞれの視点からこの時代を眺めてきて、ようやく薩摩藩側から同時代を眺められるのかと感極まり、一頁めからの「薩摩言葉」に内心小躍りして読み始めるのであるが、どうやらその思惑は少しずれていたようだ。物語は少し先、戊辰戦争を飛び越してしまっているところから動き出す。なまりの残る元志士達が「東京」を闊歩し、その中には元志士でさえなかったものまで含まれている。彼等の思考回路もまったく変わってしまっている。この先十巻、これはどうしてなかなか手ごわそうだ。
ただ回顧録がふんだんに含まれていることがこの第一巻をして自分にとってはずいぶんと読みやすいものにしてくれた。まるで今までの作品をおさらいしているような様であり、そしてそれがあらたな小躍り感となってさらりと読み終えさせてくれた。
なによりタイトル自体が松陰の言葉を借りていることに気づけたことが幸せである。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年9月5日
- 読了日 : 2011年9月16日
- 本棚登録日 : 2023年9月5日
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