大人のための社会科--未来を語るために

  • 有斐閣 (2017年9月1日発売)
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感想 : 6
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著者のうち宇野重規氏は、例の日本学術会議の件で、政府に任命拒否された6人のうちのひとりである。
私は日本学術会議と関わったことはないし、任命拒否が妥当かどうかは正直分からないが、たまたま気になった本の著者がそんな渦中の問題に晒されている方だったので、本書を読んでみた。

本書はタイトルのとおり、未来を語るために若手向けに社会の仕組み、歴史の中の現在、そして未来、希望を各著者が専門分野の知識を活かして語っている。
通して平易な文で書かれているので、大学生や高校生にも読みやすいと思う。

例の宇野氏は、「私」、「信頼」、「希望」の章を担当されている。
特に「信頼」について、本書が書かれたのは2017年だが、今に至るまでに増々この社会関係資本の重要性が増してきている。
「希望」では、社会科学の視点から未来の希望を語られており、渦中の問題も相まってとても読みごたえがあった。

その他、個人的には松沢氏の「歴史認識」で語られるアーカイブの考えや、井出氏の「公」で語られるコモン、パブリック、財政の考えもここ最近で重要性が増してきているように思い、とても勉強になった。

サブタイトルのとおり、未来を語るために今読むべき一冊。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学問
感想投稿日 : 2020年10月24日
読了日 : 2020年10月24日
本棚登録日 : 2020年10月24日

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