ドラえもん[ドラミ編] (小学館コロコロ文庫 ふ 1-71)

  • 小学館 (1999年9月16日発売)
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感想 : 6
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このドラミちゃんという存在はこの物語において、しずかちゃん同様に、女性的な役割を担っているかのように見える。だが、その働きはしずかちゃんとはだいぶ異なっている。
ドラミちゃんのもつ特徴は、ドラえもん同様にポケットから道具を取り出すことができるところにある。なので働きとしてはドラえもんに近い存在である。
ところがドラミちゃんはドラえもんとはどうも違う様に見える。同じロボットで、同じように道具を出すのに、どうもドラえもんとは違ってしっかりしているように見える。これがドラミちゃんがしっかり者の設定だからと言ってしまえばそれまでであるが、それではドラミちゃんを置く必要性があまり感じられない。ドラえもんがしっかりすればいいだけの話である。
ドラミちゃんのもつその特性は、ドラえもんにはない確実性である。ドラえもんの出す道具は、胡散臭さの漂うものが多いが、ドラミちゃんの道具はそういうあいまいさやいかがわしさは一切ない。ドラミちゃんの道具を使えば、確実に人物に変化が生じて、しかもそれは確実にその人物のためになるという類のものである。セワシ君は、ほんとうにのび太を変えたければ、何よりまず、ドラミちゃんを派遣するべきである。
逆に言えば、ドラミちゃんに従ってさえいれば、何も物語として動きは生じないのである。そういう意味で、ドラミちゃんはこの物語における優等生なのである。
こういう存在がいるおかげで、ドラえもんの極めて特異的な立場が補償されるし、のび太との関係の不思議な何とも言えない関係が確かなものとなる。ドラミちゃんは、野比家に対する支援者である。世話係と言ってもいい。ドラミちゃんはその職務をきちんとまっとうしている。ところが、ドラえもんはドラミちゃんと同じロボってでありながら、決してのび太の指導者ではないし、かといって対等な立場の友人でもない。世話をしていると言えば明らかに振り回されているし、していないかと言われれば、のび太の想像性を活かして、道具を見つけ出して世話をしているとも言える。
時に、ドラミちゃんが登場することで、物語の中のドラえもんの働きを確固たるものにしてくれる。いわば引き締め役である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: マンガ
感想投稿日 : 2017年2月7日
読了日 : 2017年3月1日
本棚登録日 : 2017年2月7日

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