2014年頃から世間でさんざん注目を集めた大塚家具のお家騒動について書いた本。
基本的には久美子側からの立ち位置の記述が多いので、
これが第3者の目から見た騒動の内幕というわけではない。
その点は割り引いて読む必要があると思う。
理:久美子側
情:勝久側として話が進んでいる。
私は結婚後にマンションに引っ越す際に、大塚家具で
色々と家具を買った経験から言えば、大塚家具は確かに
良い品質の家具をそろえており、事前にほかの店で見た家具が完全に見劣りしてしまい、ほぼひとめぼれに近い状態になってしまう。
そして店舗の雰囲気も落ち着いており、お店の人もゆっくり見て下さい。と言う感じで、他の店よりも「買うの?買わないの?早く決めて」という無言の圧力が少なかった。
そういう面では勝久さんの考えるサービスは一定の力がある事は間違いない。
しかしそれが今の経済状況に対応できているかと言うとそれは違うと思う。
そういう面では、久美子側の主張は非常に納得できる。
また勝久側の記述で、取締役会での暴言やパワハラ紛いの部下への叱責など典型的なワンマン創業者であり、自分の成功モデルを信じて世間の変化に対応できていない人として描かれている。
どれだけ読むととんでもない人だなぁ。で終わってしまうが、実際は部下に慕われる「情」が魅力的な人なんだろうと思った。
創業者やその親族は株式の価値を含めて会社への愛着が出発点となっているが、それ以外の人はあくまで会社の株を持つことは利益を得る事1点が興味であり、会社へのロイヤリティは天と地ほどの差がある。
そこが今回のように上場しているファミリー企業のジレンマになるのだろう。
持たざる者として気軽に読んだ。
一応本の中では、株主総会で久美子側が勝利して、敗れた勝久側は会社を離れて「匠大塚」を立ち上げたところで終わっている。
お互いに会社の事を思っているのに、いくつかのボタンの掛け違えで一族を二分する争いになってしまうほど、
会社の後継者問題は難しいのだろう。
まあ実際は家族間ではなく、結婚相手などの身内や、ある程度引き上げてもらったがNo2になれなかった様な部下の入れ知恵が事態を紛糾させる事が多いようだが、今回の本にはその辺のところは書かれていない。
- 感想投稿日 : 2016年8月8日
- 読了日 : 2016年8月8日
- 本棚登録日 : 2016年8月8日
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