昨年、BS12でナチス前夜のベルリンを舞台にした
連続ドラマ「バビロン・ベルリン」の
シーズン1、2が放送された。
ベースになっているのはフォルカー・クッチャー作の
警部ゲレオン・ラートシリーズ。
この本が第一作目だ。
この時代に興味津々の私にとって
ドラマはえらく魅力的なのだが
登場人物に今一つ掴みきれないものがあったので
原作を読んでみようと思った。
ネットで探したら創元から
「溺れた魚」「死者の声なき声」「ゴールドステイン」
の3作が出ていたが、現在はなんと「在庫なし」。
アマゾンで中古をやっと手に入れることができた。
このシリーズは8作あるのだが
日本ではこの3作しか出版されていない。
やはりドイツものは人気がないのだろう。
がっかり、である。
それはともかく
「溺れる魚」。実に面白かった。
この時代のドイツを舞台にした刑事物が珍しい
というのもあるが、何よりも
任務外の捜査に走る主人公ゲレオン・ラートの
危うさがいい。
裏社会に出入りしてコカイン吸っちゃうかと思えば
ぞっこんの同僚女性にふられて普通に落ち込んだり。
物語もギャング、ロシア人、共産党員、ナチ党員らが
登場し、当時のベルリンの空気が伝わってくるようだ。
ストーリーは書かないが
映像的にぐげ~というシーンも出て来る。
やはり現代を生きるドイツ人として
クッチャーがナチを憎んでいるのは確かである。
ナチが台頭してくる
1920年代後半から30年代のドイツ。
首都ベルリンは
映画「キャバレー」「地獄に堕ちた勇者ども」に
出てきたように、熟れ切った文化や風俗の
腐臭が漂うような街だったらしい。
ドラマは録画してあるので
第2作「死者の声なき声」を読みながら
じっくり楽しもうと思う。
- 感想投稿日 : 2020年11月11日
- 読了日 : 2020年11月11日
- 本棚登録日 : 2020年9月15日
みんなの感想をみる