リカバリー・カバヒコ (文芸書・小説)

著者 :
  • 光文社 (2023年9月21日発売)
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本棚登録 : 8634
感想 : 700
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王様のブランチか何かで紹介している映像を見て、興味がわき読んでみました。

感想を一言。
ホットした。

著者のやさしさを感じられる文章は、読者に安心感を与えます。
登場人物一人一人に著者の愛情・やさしさが投げかけられている感じが伝わってくるんです。
「大丈夫。大丈夫だよ」と、ささやきかけるような優しさっていうんでしょうか。
その優しさは、登場人物を通して読者である私にも伝わってきました。

この本に登場する人物たちは、年齢・性別・職業(学生もいる)、全部バラバラ。
しかし、彼らの持っている感情は彼ら特有のものではなくて、いくつになっても生まれてくるものだと思うのです。
(学生だからって他人事ではない)
誰かに嫉妬する気持ちや、自分のやりたい事を見失ってしまっている事や、誰かと理解し合いたいのに出来ないとか。
生きてると醜い自分ってどうしたって出てきます。
彼らが自分の醜い感情とどう折り合いをつけていくのか、そこからどうやって前を向いて歩いていくのか。
マイナスの感情をプラスに持っていく過程は、私たちが生きていく上で参考になると思いました。

生きているとイロイロある。
小さなことから大きなことまで。
誰かに本音を言いたいけど、その誰かがいないって事はよくある事なんですよね。(自分と近い関係であればあるほど言えなかったりする)
カバヒコに変わる何かがあると困った時の心の拠り所になりそうです。
(自分の話を聞いてくれるのは人間でなくてもいいのです。むしろ、反応を気にしなくていいモノの方が好都合なのかもしれません)
私も自分のカバヒコを探そうかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2024年3月4日
読了日 : 2024年3月4日
本棚登録日 : 2024年2月29日

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