家族狂 (角川文庫 な 34-2)

著者 :
  • KADOKAWA (1999年9月1日発売)
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本棚登録 : 108
感想 : 14
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1991年ら、テレビアニメ化もされた『ゴクドーくん漫遊記』シリーズ他ライトノベルで、2000年代からは主に自虐的エッセイで活躍する中村うさぎさんの、これは1997年に発表された、初の一般向け小説。

主人公であるハードボイルド作家・北村の一人称の語りがコミカルだし、北村が暮らす部屋に出没する幽霊家族がコミカルなので、完全に油断して読んでました。
ジェットコースターが、急落下するように、突然にサイコスリラーになります。
一応、『ミザリー』的な熱狂的ファンが怖い、という1990年型サイコスリラーを型枠とはしていますが、最終的には『サイコ』『何がジェーンに起ったか?』を思い出してしまうような1960年代志向のサイコスリラーになっていたのが、自分好みです。

中村さんは、同じ1997年に発表されたエッセイ『女殺借金地獄』が当たって、ライトノベルからエッセイ中心に執筆するようになるようですが、この『家族狂』の方が当たっていたら、エンタメ小説作家としていたかもしれませんね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2022年1月28日
読了日 : 2022年1月28日
本棚登録日 : 2022年1月28日

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