高楼方子さんの作品を何作か読んでいるので、児童文学のつもりで読み進めていたが、途中で違うことに気が付いて驚いた。
翻訳の仕事を続け、五十代半ばになった由々。ふとしたきっかけで小学5年の夏休みの日のことを思い出すのだ。お気に入りの「黄の花のワンピース」、仲良くなれると思っていたのに拒絶された「れい子ちゃん」、悲しみを抱え、さまよい歩き続けた街並み、同じ本で理解しあえた大学生の「タツヒコさん」。長い間忘れていただけで、納得できず、消化しきれなかった思いがあふれ出す。
高楼方子さんの情感あふれる描写が好きだ。自分ではなかなか言い表せないが「そうそう」と理解できる細やかな心情の表現などがすごいと感じる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年12月6日
- 読了日 : 2020年12月6日
- 本棚登録日 : 2020年12月6日
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