青木玉と祖父幸田露伴、母幸田文との着物にまつわる随筆。
露伴については筆者はおぼろな思い出が多く、母から伝え聞いたものや、母による祖父の着物の納まりを書いたものが多い。この着物の納まりとは、着物を誂え着物が年をとってゆく末のことで、仕立てなおしたり、最後のほうは座布団になったりすることである。露伴の着物が座布団になり、それを座ってから知らされた客の尻の納まりが悪いなんてくだりはおかしい。そりゃそうだろうなと思う。
祖父や母へのやわらかであたたかな思いが感じられ、その文章に触れているとこちらもおだやかでゆたかな気持ちになる。
着物の話ばかりで着物好きの私は着物初心者ながら興味津々で楽しめたが、着物どっぷりの人はもっと楽しめるのではないだろうか。反対に着物に興味のない人にはなにがなにやら?かもしれない。しかしやわらかな筆致から当時の風景が垣間見られ、着物に興味のない人でも楽しめる・・・・と思う。
文章からどんな着物なのだろう?と想像をめぐらしていると、ふっとその着物の写真や、当時の写真がはさまれる。消化不良にならないところもいい。
幸田文の文章を読んだことがなかったのだが、強くあたたかくやさしい母の文の文章も読んでみたいと思った。
★コラム担当★ぴっぴ
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カテゴリ:
着物の話
- 感想投稿日 : 2007年6月2日
- 本棚登録日 : 2007年6月2日
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