FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 日経BP (2019年1月11日発売)
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感想 : 2246
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【感想】
本書のテーマは「ドラマチックな演出による記憶や思い込みを捨てて、数字やデータに基づいて物事を正しく判断しよう」といった内容です。

振り返ってみると、僕たちは他人や色々なメディアの演出によって、沢山の"思い込み"をしてしまっているのではないでしょうか?
また、色んな情報に触れる事によって、沢山のバイアスにかかってしまい、ある意味では正当な判断が出来ていないのではないか?とも思っています。
(悲しいニュースなどに限らず、自身の収入や暮らしの事など、世の中に溢れる色んな情報によって判断が傾斜してしまっている可能性がある・・・)
そうした先入観がすべて悪い事だとは一概に言えませんが、正確な情報を持ってなお判断できるようになった方が良いなと個人的に思います。

本書では、分断本能やネガティブ本能を始め、世の中に多数存在する様々な情報を正しく見据える事の重要性を説いています。
結論としては、「知識のアップデート」が挙げられており、1つの情報だけで判断せずに、きちんとした数字やデータを調べた上で判断せよと書かれています。
ただ、この「きちんとした数字やデータ」をしっかりと把握すること自体がかなり難しいのでは?と思っちゃいますね。
僕たちがモノを調べるにあたり、ネットや書籍、YouTubeなどを用いることが多くなりましたが、そこに載っている情報が本当に正しいのかどうかは中々判別し難いわけですので・・・

色んな情報にいつでもどこでもアクセスできるこの時代は幸せな事も多いのですが、玉石混交なので本当に正しい情報を探さないといけない煩わしさというデメリットもありますね。
結局のところ、何でもかんでも情報を鵜呑みにしすぎずに、並行する色々な情報ツールに触れて、自分自身でも物事を考える事が重要なのでしょう。


【内容まとめ】
0.ファクトフルネス
話の中の「分断」を示す言葉に気づくこと。
多くの場合、実際には分断はなく、誰もいないと思われていた中間部分に大半の人がいる。
分断本能を抑えるには、大半の人がどこにいるかを探すことだ。

1.あなたは、次のような先入観を持っていないだろうか?
「世界では、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ、天然資源ももうすぐ尽きてしまう。」
この“ドラマチックすぎる世界の見方”は精神衛生上よくないし、そもそも正しくない。

2.積極的に知識をアップデートする。
たしかに賞味期限のない知識も存在する。
だが、社会科学では基礎の基礎になる知識さえすぐに賞味期限が切れる。何事も変わり続けるからだ。
宿命本能を抑えるためには、最新データを積極的に取り入れて、知識をいつも新鮮に保つよう心掛けないといけない。

3.単純化本能
世界をただ一つの切り口で見れば、あれこれ悩まずに済むし、時間の節約になる。
しかし、世界を本当に理解しようと思ったら、このやり方は役に立たない。
シンプルな解に闇雲に賛成するせいで、自分の見方に合わない情報から目を背けてしまう事になる。

4.ファクトフルネスの大まかなルール
・分断本能を抑えるには
→大半の人がどこにいるかを探そう。

・ネガティヴ本能を抑えるには
→悪いニュースの方が広まりやすいと覚えておこう。

・直線本能を抑えるには
→直線もいつかは曲がることを知ろう。

・恐怖本能を抑えるには
→リスクを計算しよう。

・過大視本能を抑えるには
→数字を比較しよう。

・パターン化本能を抑えるには
→分類を疑おう。

・宿命本能を抑えるには
→ゆっくりとした変化でも、変化していることを心に留めよう。

・単純化本能を抑えるには
→ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう。

・犯人探し本能を抑えるには
→誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう。

・焦り本能を抑えるには
→小さな一歩を重ねよう。



【引用】
p20
・ドラマチックな本能と、ドラマチックすぎる世界の見方
あなたは、次のような先入観を持っていないだろうか?
「世界では、暴力、自然災害、人災、腐敗が絶えず、どんどん物騒になっている。金持ちはより一層金持ちになり、貧乏人はより一層貧乏になり、貧困は増え続ける一方だ。何もしなければ、天然資源ももうすぐ尽きてしまう。」
この“ドラマチックすぎる世界の見方”は精神衛生上よくないし、そもそも正しくない。


p30
・分断本能
人は誰しも、様々な物事や人々を2つのグループに分けないと気がすまないものだ。
そしてその2つのグループの間には、決して埋まることのない溝があるはずだと思い込む。
世界の国々や人々が「金持ちグループ」と「貧乏グループ」に分断されているという思い込みも、分断本能のなせるわざだ。


p59
・ファクトフルネス
話の中の「分断」を示す言葉に気づくこと。
多くの場合、実際には分断はなく、誰もいないと思われていた中間部分に大半の人がいる。
分断本能を抑えるには、大半の人がどこにいるかを探すことだ。


p158
恐怖と危険は違う。どうせなら、危険なことを怖がろう。


p213
・パターン化本能
ひとつの集団のパターンを根拠に物事が説明されていたら、それに気づくこと。
決して物事は十把一絡げにはできず、同じ集団の中でも違いはあるし、逆に違う集団のあいだにも共通項はある。


p231
・積極的に知識をアップデートする。
たしかに賞味期限のない知識も存在する。
だが、社会科学では基礎の基礎になる知識さえすぐに賞味期限が切れる。何事も変わり続けるからだ。
宿命本能を抑えるためには、最新データを積極的に取り入れて、知識をいつも新鮮に保つよう心掛けないといけない。


p241
・単純化本能
世界をただ一つの切り口で見れば、あれこれ悩まずに済むし、時間の節約になる。
しかし、世界を本当に理解しようと思ったら、このやり方は役に立たない。シンプルな解に闇雲に賛成するせいで、自分の見方に合わない情報から目を背けてしまう事になる。


p260
・単純なものの見方と単純な答えには警戒しよう
複雑さを喜んで受け入れよう。
違う考えを組み合わせよう。
正解を得るための妥協を厭わないこと。


p264
・犯人探し本能
何か悪い事が起きたとき、単純明快な理由を見つけたくなる傾向。
しかし、誰かを責めることに気持ちが向くと、そこで学びは止まる。他の理由を見つけようとしなくなるからだ。
誰かが悪いと責めることで、複雑な真実から目をそらし、正しいことに力を注げなくなってしまう。


p290
・焦り本能
「今やらないと、もう次はない」
これが焦り本能を引き出すコツなのだ。
今すぐ決めろと急かされると、批判的に考える力が失われ、拙速に判断し行動してしまう。
ひと息つこう。今じゃないとダメなんて事は早々ないし、チャンスも一度きりじゃない。


p324★
・ファクトフルネスの大まかなルール
1.分断本能を抑えるには
→大半の人がどこにいるかを探そう。

2.ネガティヴ本能を抑えるには
→悪いニュースの方が広まりやすいと覚えておこう。

3.直線本能を抑えるには
→直線もいつかは曲がることを知ろう。

4.恐怖本能を抑えるには
→リスクを計算しよう。

5.過大視本能を抑えるには
→数字を比較しよう。

6.パターン化本能を抑えるには
→分類を疑おう。

7.宿命本能を抑えるには
→ゆっくりとした変化でも、変化していることを心に留めよう。

8.単純化本能を抑えるには
→ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう。

9.犯人探し本能を抑えるには
→誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう。

10.焦り本能を抑えるには
→小さな一歩を重ねよう。


p339
・「ファクトフルネス」とは?
人々がとんでもなく世界を誤解していること。
事実に基づいてファクトフルに世界を見ることができない。
その理由は、「分断本能」「パターン化本能」など10の本能にある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: お勉強
感想投稿日 : 2021年1月25日
読了日 : 2021年1月25日
本棚登録日 : 2021年1月25日

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コメント 2件

りまのさんのコメント
2021/01/26

きのpさん
犯人探し本能って怖い、と思いました。(ありがちなのが、怖い)

きのPさんのコメント
2021/01/27

りまのさん
コメント有難うございます!
他の本でも、「自責と他責」といった内容はよく目にします。
正直なところ、自責だけではどうともしがたく、つい他人に責任を追求してしまいがちですが、それでは解決しないどころか別のトラブルを生みかねませんよね。。
ですので、責任の所在(犯人探し)をするのではなく、どうすれば建設的で良い改善策を見つける事ができるのか。
追求すべきポイントをそちらにする事が必要なんだなと思いました!

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