欲望の資本主義

  • 東洋経済新報社 (2017年3月24日発売)
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番組は10回くらいのシリーズだったのか?本が面白かったので番組も見たかった、それこそ"オンデマンド"で見られないものか。

本書はスティグリッツ氏、セドラチェク氏、スタンフォード氏3名の回(+おまけ?でセドラチェク氏と小林氏の会談有)に絞ってまとめられている。
経済学者2名vs資本家1名というか、前の2人の資本主義は成長にこだわるべきではなく、神の見えざる手なんか存在せず、国は適切に市場を制御すべきという概ね一致した意見を読んだ後、技術革新とそれに伴う成長はいやでも起こり続けるもの、従前の資本主義が機能しないなら新たなモデルCがこの世を席巻するまでよ、というイケイケな意見の洗礼を受ける構図かと。

「成長すべきという思い込み自体間違っていたのだな」と納得しかけた後でスタンフォード氏の「資本主義は先進国における生活水準の全体的な底上げには成功した」という話に揺り戻され。結局今の経済は変化しているのか停滞しているのか?現状のこの停滞感は現実か幻か。

ただ経済学者2名の話から、生活水準の底上げの恩恵に預かりきれていない国があることと、先進国が浅慮で無理に成長しようとすると他の地域の経済を大いに歪ませ得るらしいことはうっすら理解できた。そしてこれらを改善することのほうがツチノコ探しみたいな停滞感の正体探しより余程急務で重要で効果もはっきりしていることのように感じた。自分がこれにどう協力できるかは、難しいけれど常に考え続けていきたい。

セドラチェク氏はかなりの知の怪物のようで、著書の「善と悪の経済学」も是非チェックしたく。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年10月13日
読了日 : 2017年10月
本棚登録日 : 2017年10月13日

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