NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX (日本経済新聞出版)

  • 日経BP (2020年10月22日発売)
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■概要
ネットフリックスの社員管理について述べられた書籍です。会長兼CEOであるリード・ヘイスティングスが創業から現在までにどのように社員管理の方法やプロセスを変化させてきたのかを、『異文化理解力』の著者であるエリン・メイヤーと交互に記述する形式で読みやすい内容でした。

ネットフリックスの創業初期に社員の1/3を解雇するという経験をした際、リード・ヘイスティングスは残った社員の会社に対するロイヤリティが下がることや過剰な業務負荷がかかることなどマイナスの影響を懸念していました。しかし、実際は全く想定とは異なり社内の空気は非常にポジティブになったそうです。これを起点にネットフリックスの特異な社内文化・プロセスが形成されていきます。

■ネットフリックスのアプローチ
ネットフリックスは以下の3つのアプローチを順番に試していき、さらにそれを繰り返すことで改善を続けています。これによって「自由と責任」の文化が醸成されていきます。
・能力密度を高める
・率直さを高める
・コントロールを減らす

第一段階では「優秀な人材は優秀な人材と働きたい」という理解のもとに、最高の成果を出せいない人や悲観論者などを解雇して、有能な人材の比率をあげていきます。続いて社員同士で立場に関係なくお互いの向上に繋がるような指摘をすることを求めます。これが出来ないことは会社の役に立てるにもかかわらず何もしないということで、背信行為とみなされます。ここまで出来たらようやく休暇の取得や出張経費の管理を無くしていきます。もちろん単純にこれらを実行していくと一斉に多くの社員が休暇を取って事業が回らなくなるなど問題が発生しますので、ネットフリックスで導入した際の事例を交えながら実運用時の工夫についても述べられています。

この3つのアプローチを繰り返してさらに改善していきます。本書では3周しており、報酬や昇級の考え方、より有能な人材の採用や承認プロセスなどが取り上げられます。

■こんな人にお勧め
イノベーションを起こすことを求められている企業での社員管理について知ることが出来ます。

ネットフリックスは変化する社会に常に適応していくことで成長するタイプの事業を行なっているので、新しいことを素早く試して早めに小さく失敗することで多くを学んでいく必要があります。一方で飛行機のパイロットや医師など絶対に失敗出来ないタイプの事業にはネットフリックスのアプローチは適していません。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス・政治経済
感想投稿日 : 2021年5月2日
読了日 : 2021年1月5日
本棚登録日 : 2020年10月31日

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