探偵チームKZ事件ノート 天使が知っている (講談社青い鳥文庫)

  • 講談社 (2013年11月15日発売)
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本棚登録 : 405
感想 : 11
4

▼大変に面白かった!娘(9)との付き合いもあり、読んでいるシリーズで、全体にそんなに悪くない。のですが、本作は今までで一番でした。

▼基本、日本の首都圏らしき町で、中学生女子アーヤと、4人のイケメン秀才男子の5人組が事件を解決するシリーズで、アーヤの一人称語りなんですが、「天使」は、言ってみればスピンオフ。

▼男子の1人「上杉」の一人称。上杉くんが、徐々に視力が弱まる。それは将来失明するかも、という目の病気だった。手術のために海外に行く。成功すれば治るが、失敗したら失明。その不安。答えはなかなか、ない。

▼検査&おそらくは手術?に訪れたスイス?の病院施設。超エリートの設定で、英語はペラペラ、仏語も少々という便利な設定で、その街の貧しい孤児たちを救う&テロリストを確保するという離れ業が段取りとしては描かれますが、折々描かれる、上杉くんの不安心理の描写が主題であり、秀逸です。

▼「なんで俺だけこんな不幸に」という答えのない不愉快。一方で病院施設は、それらの不条理と運命の風合瀬というか十字路である。余命永からぬ少年フランクとの会話が美味。
 いつも通りなジュブナイルご都合な冒険譚は差し置き、エリートな10代が世界と人生の多様性、そして自らの人生に謙虚さと理屈以上の蛮勇をアップグレードする説得力がありました。パチパチ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本:お楽しみ
感想投稿日 : 2024年1月21日
読了日 : 2024年1月21日
本棚登録日 : 2024年1月21日

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