歩兵の本領 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年4月15日発売)
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1970年頃の東京を舞台とした陸上自衛隊(市ヶ谷駐屯地)がテーマの中編9編が収録。それらの初出時は99~00年頃、01年刊行、04年文庫化。
収録されている作品の時代背景となった時期は、令和となった今となっては、もはや半世紀以上も前で、読者の年代によっては、時代小説さながらの感慨があるかもしれない。初出時からも四半世紀近く経ち、その間だけでも、日本のみならず世界も驚くほどに変わってしまった。もちろん、この四半世紀近い間だけでも、この作品のテーマとなった自衛隊(陸海空いずれも)、その自衛隊の動静を大きく左右する政治情勢も、そうしたものを取り巻く様々な動きも、大きく変わってしまった。
とりわけ、昨今では、日本が近い将来、再び戦火にまみえる可能性や、他国のそうした動きに多大な影響を受ける可能性が示唆されてもいる。また、そうしたことに対する懸念を抱く人たちも著しい。そうした時代にこそ、まだ先の大戦の際に、最前線に立っていた人たちが先頭に立っていた時代に日本という国の自衛隊がどのような状況の中にあったのかを彷彿とさせられるこの作品を読むことは、極めて意味の大きなことであると考える。ただし、令和のこの時代とは、あまりに時代背景の差異が開きすぎているので、読む人の年代によっては、理解が容易ではないかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年8月18日
読了日 : 2023年8月18日
本棚登録日 : 2023年8月18日

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