笑うハーレキン

著者 :
  • 中央公論新社 (2013年1月9日発売)
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本棚登録 : 1143
感想 : 217
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ハーレキンとは道化師のこと。顔は笑っていても、心の底は…。ハーレキンのように、素顔の見えない人たちばかりが登場する。

幼い子供を失い、経営していた会社がつぶれ、妻には去られ、ホームレスとなった家具職人の男が主人公。暗い過去から逃れられず精神的に不安定な状態が続くが、ホームレス仲間と共に仕事をこなすうちに、自分を取り戻していく。

隠された過去という意味では、『透明カメレオン』と同系列だろう。
ただ、途中の事件や貧乏神のような幻影など、思わせ振りの割には中途半端でまとまりに欠ける。ストーリー運びや伏線の回収も含め、出来としてはカメレオンのほうがはるかに上だと感じる。
読む順が出版順とは逆になってしまったけれど、カメレオンを読んだときピエロを思い浮かべた。この作品を昇華させたのが、カメレオンなのかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ま行
感想投稿日 : 2015年10月13日
読了日 : 2015年10月13日
本棚登録日 : 2015年10月8日

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