陸地の多くが水没した25世紀の地球で、人々は新しい環境に適応しながら繁栄をしていた。が、再び地球の大異変が予測され、様々な権力の思惑が入り乱れるなか、主人公である外交官が人類の滅亡を阻止するために奔走する。
別の作品で直木賞候補となり初めて知った作者、図書館にあったものを借りてみたのだが、ここまで本格的な設定のSFを読むのは久し振り。科学的な説明の部分は苦手なので飛ばし読みしていたが、それも最初のうちだけで、あとは壮大なドラマに引き込まれた。
それにしても、遺伝子の改変で海上に棲むようになった人々や、脳波で通信し精神や肉体までもコントロールするAIパートナーなど、現代の科学をベースに作り上げた架空の設定は興味深い。さらには、いつの時代も変わらない愚かな権力争いなども加わって、特殊な設定頼みの味気ないSFではなく人間味を帯びたスケールの大きな物語として堪能することができた。
ただ、長編で登場人物が多いため、忘れっぽい私には人物一覧があるとよかったな。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
あ行
- 感想投稿日 : 2018年7月10日
- 読了日 : 2018年7月8日
- 本棚登録日 : 2018年7月2日
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