山の自然学 (岩波新書 新赤版 541)

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  • 岩波書店 (1998年1月20日発売)
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日本各地の山の植生帯を地質や気候変動の歴史から解説。

・サハリンが日本の領土でなくなり、良質の針葉樹が輸入されなくなってから、製紙業界は広葉樹を用いはじめた。
・かんらん岩はアルカリ性の強い土壌をつくりやすく、蛇紋岩植物が分布する。
・日本海側の鳥海山、月山、朝日岳、飯豊山には針葉樹林帯が欠如し、代わりにイネ科草原やお花畑などの偽高山帯が分布する。後氷期の多雪化によって針葉樹林が滅亡したと考えられる。
・日光の戦場ヶ原では、活発な蒸散を行うズミが侵入して湿原の乾燥化が進んでいる。
・富士山では、本来ハイマツが現れるあたりにカラマツが分布する。
・南アルプスでお花畑が見事なのは、四万十層群の堆積岩または変成岩が風化してつくられた岩屑が、安定し通気性や保水性がいい土地をつくっているため。
・1914年の桜島の大噴火は、日本で記録が残っている噴火の中で最大。噴出した溶岩(大正溶岩)は20億m3で、浅間山の天明の噴火の10倍。1815年のタンボラ火山の噴火の噴出物の量は1500億m3。2万2000年前の姶良火山の噴出量は4500億m3で、シラス台地と鹿児島湾をつくった。

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感想投稿日 : 2014年1月26日
読了日 : 2014年8月23日
本棚登録日 : 2014年1月26日

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