失楽園の向こう側 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館 (2006年3月7日発売)
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本棚登録 : 115
感想 : 14
5

私は、人生に行き詰まったら、この本を読んでいます。
平易なエッセーですが、日本の問題点とその本質を見事に語っているような気がします。

この本は決して「ああしろ」「こうしろ」という指南本、マニュアルではありません。

「いや、もう日本ってこれから先何も良い事ないよ、でも生きていこうね」
と、さらりと言っているようです。

しかし、氏のスタンスには、厳しさと、そして、優しさがあります。
それらの混ざり具合が、私なんかは、絶妙というか天才的だなと感じています。

 「人それぞれ」、「あなたには関係ない」、これらの言葉が巷に溢れているような気がします。
今の社会状態は、相当な病を抱えていると思います。

 「俺に、この本を書く理由なんてないけど、仕事って他人の需要に応えることでしょ?、
だから、書いているの、働くってそういうことでしょ?、だから関係ないわけないじゃん」(筆者想像)

 という理由で、この本を書いているような気がします。正直、読んでも、何も解決できませんが、
この社会と人と、そして、自分と、どのように接すればいいのか?ヒントはくれているような気がします。
そして、毎度、毎度、橋本氏は、「後は、自分で考えてね」と、読者にボールを投げます。

 そのボールをしっかり、受け取ろうと思った瞬間、まぁ、生きていこうかなと思える、不思議な本です。
是非、一読を!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年6月6日
読了日 : 2017年6月6日
本棚登録日 : 2017年6月6日

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