依存症ビジネス――「廃人」製造社会の真実

  • ダイヤモンド社 (2014年10月10日発売)
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これだけ「各種依存症」になりやすいのは、一にも二にも世の中が便利になったからに他なりません。
ネットを開けば、簡単にゲーム、ポルノ等の広告を見ることができます。街を歩けば、コンビニが目と鼻の先にあり、
そこには、魅力的なお菓子、アルコール類が、所狭しと置かれています。

便利な環境は、不便な環境よりも、生活はし易い。しかし、依存症の罠にかかりやすい環境だと思います。
この著作は、依存症になってしまう人間心理や、社会環境、そして、企業の思惑等、具体例が豊富に紹介されています。

もはや、現代人にとって、「依存症」になることを、避けられない状況のようです。
ここ10年間で、私たちの生活はがらっと変わったような感じがします。ネットの登場から、今では携帯で24時間、どこからでも
アクセスすることができるようになりました。買いたいものは、瞬時に買うことができ、見たいこと、知りたいことも、一瞬にして
わかるようになりました。

「気分を向上させたいときはいつでも、自分に報酬、すなわち「ごほうび」を与える習慣がますます強まったことだ」と、
本文に書かれています。「我慢」という言葉自体が、もう意味をなさなくなっているかもしれません。
お腹がすいたら、コンビニ行けば大抵満たされます、性欲が湧いたら、オンラインポルノにアクセスすれば
簡単に慰められます、退屈だったら、オンラインゲームをし、買物をしたかったら、ネット通販で事足ります。

私は今31歳ですが、10年前と比べても、格段に便利になった(買う、見る、知るという観点から)と思います。
ただ、その弊害が下手すると、自分を「廃人」にさせる、リスキーな社会になったと思います。

セルフコントロールとは、使い古された言葉ですが、今の時代、健全かつ健康に生活を送るためには、
昔以上に、自分の欲望に向き合わないといけないと感じます。「普通な人」と「廃人」には、少し前には、
明確な線引きがあったように感じます。「廃人」になる過程というものが、はっきりあったような気がしますが、
現代は、ほぼ私たちみんなに廃人になる可能性があります。

私事で恐縮ですが、私の兄がたった3ヶ月でオンラインゲームに150万程つぎ込んでいました。
もう少し、発覚が遅かったら、いったいいくら使っていたのか、、、、。
普段の真面目な兄を見ているので、その事実が発覚したときは、本人を責めましたが、
今では、今の社会環境を問題にした方がすっきりします。

この著作は、欧米の事情ですが、日本に置き換えても問題ないと思います。
それだけ今の世界に、依存症が病的に急拡大しているということです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年6月6日
読了日 : 2017年6月6日
本棚登録日 : 2017年6月6日

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