不良のための読書術 (ちくま文庫 な 28-1)

著者 :
  • 筑摩書房 (2000年5月1日発売)
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本棚登録 : 248
感想 : 39
4

不良の読書家にとって悩めしい所は、
自分は、果たして著者が好きなのか、それとも、著書が好きなのか、どちらなんだろうかと考えなくてはいけないことです。

著者が好きなら、その著者が書いた本を、
全部読まないといけなくなります。
そうすると作品収集ということをやるんですが、
幸運か不幸か判断するのが難しいんですが、
その著者がメジャーな人で、作品が膨大にあるのなら、かなり大変です。
世の中には、その収集だけで人生を終えてしまう人もいるぐらいです。

ましてや外国人の著者なら、当然、原書を買い求めるのが当然なので、日本語書籍の何倍もするような本を買いに求めたり、また飛行機に乗って、わざわざ、現地に行かないといけません。

おそらく、誰にも理解されない、イカれた行為と思われるでしょう。だから、不良なんですが。

著書が好きな場合は、著者が好きな場合に比べて、
時間もコストもリーズナブルで済みますが、考えるという負担が、自分に重くのしかかります。つまり、自分は、なんでその本を手にとって、面白く感じたかということです。この読み方こそ不良の読書の真骨頂です。

コンディションやタイミングによって、読書の質は、かなり左右されます。また、その時に自分が関心あることに、読み方さえも、変化します。

そんな状態をある程度客観的に知ることは、
不良の読書家にとって、生命線とも言えます。

正統派の読書家なら、テーマをまず絞り込み、
そのテーマに関して、優れた業績をあげている人を、調べあげ、そうすると大概が外国人になるんですが、そのあと原書を揃えます。、また邦訳があるなら、翻訳者が誰であるのか、出版社は、どこかも丹念に調べあげて、一応そろえて、かなり集中して原書も邦訳も、読み込んでいきます。

しかし、不良には、そんな事は、できません。
なぜなら、それをするには、フランス語とドイツ語と英語が、かなりのレベルまで、できないといけないからです。

試しに自分が影響を受けた著者の学歴を調べると、
面白いことがわかります。私の場合は、8割以上が所謂、難関大学を卒業している方でした。日本人率92%です。ちなみに、所謂インテリと呼ばれる人は、大概が、外国人の著者に影響を受けています、これが残念なのか、どうかわかりませんが。

著書も好きで、著者も好き、
これは著者が好きだから、著書も好きとは、
また違うことで、所謂、ベストセラー作家という地位を築いた人に共通して見れることです。

有名な人の著書を読むか、無名な人の著書を読むか、これも不良の読書家にとって、また悩めしい問題です。ベストセラー作家や有名な著者というのは、多かれ少なかれ、日本人が読みたいモノ、知りたいこと、問題と思っていることを、作品として提供出来ている人です。これは、とてつもないことで、やはり不良でも読むべきです。

無名な人の著書の場合、まず著書数が限られるので、次回作は、ほぼありません。そのため著者の問題意識の遍歴を知ることはできません。ただ著者の問題意識に自分が共鳴してしまったことは、やはり稀有な経験です。似たようなことを考える人が、自分の他にもいることを経験した人は、救われます。その経験をすることで、自信が生まれます。それが、生きる希望になることもあります。

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感想投稿日 : 2019年12月22日
本棚登録日 : 2017年7月6日

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