ケルトとローマの息子

  • ほるぷ出版 (2002年7月1日発売)
4.13
  • (16)
  • (3)
  • (10)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 81
感想 : 9
5

実話を元にしたわけではないだろうけど、きっとこの時代、本当にあった話なんだろうな、と思う。当時、ヨーロッパ地域を支配していたローマの軍人と、辺境部族の女性の間に生まれた赤ん坊の、辛苦に満ちた半生を描く。話の流れやテーマとしては典型的なのかもしれないけれど、先に書いたとおり、人類の歴史の中、きっと本当にあった話なんだろうなと思うと、主人公・ベリックの人生がひどく痛々しい。伏線にあらわれるユスティニウスが早く彼を救ってくれないかと、読んでいる途中、気をもんでしまいました。故郷から追い出されるまでのベリックは、気高く勇敢な少年だけれど、それが故に追放され、すぐに貴族の奴隷に、そしてガレー船の奴隷へと身を堕としてゆく。ユスティニウスにすがって「ガレー船にだけはもどさないでくれ!」と懇願するシーンは、いくら優しく、誇り高い人間でも堪えることのできない現実が、世の中にはあることを生々しく伝える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年2月6日
読了日 : 2011年2月6日
本棚登録日 : 2011年2月6日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする