再読。西村氏は純文学を彷彿とさせる硬質且つ推敲された文章を巧みに操る。他方で彼自身の行動は徹底的に下衆で低俗である。この相容れぬ双方のバランスを保つ見事さはどうであろう。
特に「墓前生活」は、副住職の好意を反古にし一々逆恨みする姿が酷く身勝手な一方、単語選びから句読点の配列まで天才的感性があり、さもすると不快な印象しか与えない筆者の感情や行動を高度な文学者的視点を以てユーモラスに正当化されている。藤沢清造氏への鬼気迫る執着心など狂人の域である。墓標までコレクションしているのだから。
いやはや素晴らしい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2015年5月24日
- 読了日 : 2015年5月24日
- 本棚登録日 : 2015年5月20日
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