新潮ドキュメント賞受賞作品。政策秘書給与の不正受給により実刑1年6ヶ月の刑に服した山本譲司元代議士の獄中記。
『累犯障害者』が優れた作品だったので本書を手に取ったが、第1章は自己正当化に終始し些か白けてしまった。しかし次章以降は、障害者の囚人たちの介助役を担い、積極的に関与していく姿は、本来政治家が持つ気高さが伺える。糞尿処理を黙々とこなし、それを特別ともしない山本氏の様は崇高な印象さえ受けた。一面的な情報だけで判断すべきではないが、本書内で記されている辻元氏とは雲泥の差である。
本書の中で特に印象的なエピソードは聾者とのシーンである。子どもが「聾者ではなかった」と二人して喜ぶ場面がある。私自身も涙腺が緩んだ。しかし、それは自分の中に「障害は望むべきものではない」という感情があることに気付いた。「障害は無い方がいい」、しかし「有ったらいけないのか?」。物凄く考えさせられてしまった。
『累犯障害者』でも書かれていたが、障害者にとって刑務所は「人生の中で一番居心地がよい場所」。そんな哀しい社会が少しでも改善されるよう、筆者には是非頑張って欲しい。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2013年9月29日
- 読了日 : 2013年9月29日
- 本棚登録日 : 2013年9月23日
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