ローマ法王: 二千年二六五代の系譜 (中公文庫 た 71-1)

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  • 中央公論新社 (2005年6月1日発売)
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感想 : 3
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ローマ法王の系譜はそのまま宗教史でもありヨーロッパ史でもある。キリスト教は日本人にとっては馴染みが薄く、ヴァチカン国元首であり最大宗派カトリックの長ということも知らない人が多いのではないか。

ローマ法王は絶大なる権威を持ち歴史に暗躍する負の印象を持たれることもあるが、本書を読めば毎朝信者の来訪を受け入れ対話するために数ヶ国語を操るローマ法王の人柄と博識さが伝わってくる。(第1章)またキリスト教と歩みをともにしてきたヨーロッパ史も興味深い。(第2章、第3章)苦難の時代を乗り越え、純然たる宗教的象徴として昇華し、ポーランド出身のヨハネパウロ2世の果たした影響力は今の法王にまで脈々と受け継がれている。(第4章)

ちょうど本書を読んでいる最中、フランシスコ法王の「インターネットは神からの贈り物である」というメッセージがニュースになっていた。こういう柔軟性も、神の子の代理という立場でありつつも、法王が持つ人間的魅力の一つであろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 学術/思想
感想投稿日 : 2014年1月27日
読了日 : 2014年1月28日
本棚登録日 : 2014年1月12日

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