脱成長を掲げる人々の問題意識の出発点には通じるものがあります。このまま資本主義社会を続けていれば、社会も地球も壊れてしまうーー。そこからの変革を求める気持ちは一緒だと思います。
しかし、なぜ資本主義社会だと環境問題を解決できないのか?どうやって社会を変えていくのか?という命題については、わたしはこの著者たちとは違う立場です。
著者たちの中に、経済学の専門家はいないようです。だからこそ、なぜ資本主義社会では環境破壊を引き起こしてもなお経済成長が優先されるのか解き明かされていませんし、資本主義社会において財界がいかに政治権力を握っているかについての考察もありません。そうした資本独特の運動と権力構造を無視しているため、政治闘争の重要性はかなり低いものとして扱われてしまっています。ようは「個人が変われば社会は自ずと変わる」という論調です。
著者たちは「まずは個人が変わりコミュニティが変わることで政治も変わっていく」と語りますが、そこには資本主義社会の法則がまだ貫かれているのです。だからこそ、この社会の仕組みを変えるために必要なのは明確な政治闘争なのだと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
社会
- 感想投稿日 : 2021年6月14日
- 読了日 : 2021年6月14日
- 本棚登録日 : 2021年6月13日
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