社会学的方法の規準 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (2018年6月11日発売)
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感想 : 4
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  どういった観点で「社会」を見なければならないか、どの様は基準を設けるべきか、あるいは設けてはいけないかを論じている。西洋的価値観に基づく観点を捨て、その事象を一つの事実として認めるよう訴えている。ある社会では悪徳とされることであっても、別の社会においては称賛される行為があるとき、称賛される社会を異常や例外とするのではなく、その事実を受け止め、なぜそのような違いが生じたのかを検証することこそが「社会学」となる、ということである。これを主軸として、通俗的な物の見方を改めることを勧め、暗黙の了解で使っていた様々な言葉に対してきちんとした定義を与えることを求めている。また、思い込み、決めつけ。そうでなければならないという態度を戒めている。哲学の延長線上、あるいは哲学の一部であった「社会」の研究を、「社会学」という学問へと昇華させたきっかけとなった著作であるが、事実を事実として受け止めることの難しさも見て取ることができる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 思考・思索・哲学
感想投稿日 : 2018年10月13日
読了日 : 2018年10月13日
本棚登録日 : 2018年10月13日

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