黒いピエロ (lettres)

  • みすず書房 (1999年1月15日発売)
3.86
  • (4)
  • (4)
  • (6)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 60
感想 : 5
5

作者ロジェ・グルニエが一番気に入っている作品、らしい。

舞台はフランスの小さな町、
幼友達、大金持ちの家の子、おデブのシャルル・メルラン。
その両親はちやほやと異常なほどの愛情を注いでいる。

語り手の「私」はシャルル・メルランをおおいに軽蔑しながらも…

人生においての選択、
一生懸命選んだり、打算でえらんだり、
あきらめてこっちにしたり…

でも過ぎてみるとどういう風に選んだとしても
「もしもあの時…」とふと考える。

付き合いながらも馬鹿にしている、
自分のほうが大層立派だと思っている、
こういうことって心当たりあるけれど、
実は相手も…ということは
もちろんあるだろう。

誰よりも通じ合っている、他に何もみえない、
と思えた瞬間があっても
その状況を冷静に判断しているという現実。

巻末の翻訳者山田稔さんとグルニエさん遭遇話も
大変面白い。

ロジェ・グルニエ!、
宝物のように思える作品群、
「出会ったなあ!」と言う嬉しい感慨でいっぱい。
さらに翻訳をしている山田さんのエッセイも
面白いことを知ったぞ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年2月18日
読了日 : 2012年2月18日
本棚登録日 : 2012年2月5日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする