アメリカ短編ベスト10

著者 :
制作 : 平石貴樹 
  • 松柏社 (2016年6月8日発売)
3.93
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本棚登録 : 91
感想 : 12

どこかでみかけて、
どうしても読みたくなり、図書館で借りた本。

ベスト10とありますが、実は11個お話が入っています。
どうしてもあと一つ、入れたかったのですって!

この間読んだ岩波の短篇集でも入っていた
「ローマ熱」が入っていたけれど、
夜になって来て
レストランが段々忙しくなってくる感じとかが
本当に風景として浮かんできて、
とても良かった。

二人の女性の関係性も横に座っている様にわかる。

どうしても「出し抜かれた風であったけれど
実はそうでなかった」側の肩を持ちがちになるのは
何故でしょうね?

あと「何かの終わり」(ヘミングウェイ)も
この間の短篇集に入っていたな。
確かにこちらの翻訳の方がすっきりとしていて、
情景が浮かんでくる気がするな。
(名訳と言うことか)
岩波版は最後のセリフがちょっと気になったので、
こちらの方はどうなっているのかな?と
頭の片隅で思いながら読んだけれど、
とても自然で納得、だった。

あと面白かったのはバーナード・マラマッドの
「殺し屋であるわが子よ」

息子が心配のあまり暴走するお父さん、
責任を押し付け、そのくせ手助けはしてくれない奥さんと
関わりを避ける娘と、
お父さんが目に入るだけでもイライラする息子と…

好きすぎて心配過ぎてほっとけないけれど
尾行するように付いて回るくらいしかやることがない、
って言うのが滑稽で、やっぱり切ない。

この翻訳者の方が、詳しい解説とマル秘話みたいのを
巻末に載せていてくれて、
これが学生時代の面白い授業のようで、懐かしくもあり、
なんだか「先生」と言う存在に
再び触れたくなった!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 短編小説
感想投稿日 : 2017年2月18日
読了日 : 2017年2月18日
本棚登録日 : 2017年2月18日

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