夢という眠りと覚醒の狭間における分析は、我々を性の欲動の秘密へと誘う。性とは種の存続に欠かせないものであり、だからこそ古代の記憶、いわゆるイェイツのいうところの大記憶から呼び覚まされるのである。いうなれば共通記憶からの引き出しであり、フロイトが述べるところの基礎言語とは、人類という種が手に手を携え、無意識に護り続けてきた記憶なのである。
古代の記憶を呼び覚ます夢とは、まさにコールリッジやロレンスの詩に読み解くことができるような「生と死の狭間」である。ふんだんに顕れてくる大記憶がもたらす象徴は、人を心的現実のみが真実となるヒステリーへと誘う。
忘れてはならない。思い出さねばならない。これは胎児のみる夢の話である。固体の原始である胎児は、それと同時に人類という種の原始でもあるのだ。胎内で、あるいは幼児期に、フロイトが述べるとおり、なんらかの形で大記憶を呼び覚ました幼児は、心的現実の核をたずさえて健忘に陥るのである。まさに、ドグラマグラである。
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- 感想投稿日 : 2016年1月31日
- 読了日 : 2016年1月31日
- 本棚登録日 : 2016年1月31日
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