日本文化の論点 (ちくま新書 1001)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年3月5日発売)
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本棚登録 : 650
感想 : 56
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提示する処方箋がことごとくぬるいのは宇野らしいけど、状況の整理と問題の提起については抜群にうまくて、そこはやはり参考になる。
たとえば日本のアニメやマンガを輸出しようというクールジャパンな議論のイケてなさを宇野はちゃんと指摘する。オタク文化が花開いたのは個々のコンテンツのおかげてはないしそこに価値を還元できないという当たり前が、ことクールジャパンだ、海外で売り込みだって話になるとその辺がすっぽり抜け落ちておかしな議論になる。日本のマンガ・アニメは優れているのだから適切な出版と流通の体制があればいけるはず、なんていう安易な発想で議論が進められて、それでコンテンツ立国知財立国と言ってるわけだから議論が行き詰まるのも当然。その当然がなぜか語られない不思議っちゃ不思議な状況でしっかり論点出しできるのはやはり宇野のすごいところだと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2013年3月10日
読了日 : 2013年3月10日
本棚登録日 : 2013年3月10日

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