紅茶スパイ: 英国人プラントハンター中国をゆく

  • 原書房 (2011年12月1日発売)
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本棚登録 : 421
感想 : 50
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紅茶スパイ、うまいタイトルつけたなぁ。
園芸好き、ミステリ好き、紅茶大好物な自分には題名だけでこの上なく興味惹かれました。
時は19世紀のイギリス、茶、アヘン、銀の三角貿易のバランスが崩れるのを懸念し、茶の本場中国から茶の種苗と製法を盗み出し、英国領インドでの栽培を実現させようと試みた東インド会社から、アヘン戦争後の中国へ派遣されたスコットランド人のプラントハンター、ロバート・フォーチュンの活躍を追った歴史ノンフィクション。
インド紅茶の立役者といえばブルース兄弟が有名だが、こんなに危険を犯した(今なら産業スパイ)フォーチュンの働きは、紅茶が大衆的な飲み物になる上で偉大な功績を遺したと言えよう。
中国内陸部への立ち入りが認められていなかった危険な状況で辮髪姿で変装し、種や苗木を集め、数ヶ月に及ぶ船旅で過酷な環境の中輸送した数々の苦労が偲ばれる。
と同時に当時の大英帝国という支配国の人の傲慢さ、後進国の人々への無理解もよく描かれている。
沢山の文献を元に、フォーチュンの活躍だけでなく当時の紅茶や茶を取り巻く様々な状況…例えばティークリッパーや、各国間の情勢が書かれていて興味深い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 紅茶・料理の本
感想投稿日 : 2012年4月25日
読了日 : 2012年4月25日
本棚登録日 : 2012年4月25日

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