日本社会の歴史 下 (岩波新書 新赤版 502)

著者 :
  • 岩波書店 (1997年12月22日発売)
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後醍醐から始まる下巻が現代まで!?東西王権の考え方は室町時代においても、関東公方の独立王国ぶりから説明する。著者は最終章で17世紀から現代までを総括するかのような文章だが、それが「むすび」で明確化される。確かに著者は中世史の専門なのだろう。著者は海民国家・民族であった日本が孤立した島国とする考え方が、江戸末期から始まった。明治国家が作り出した虚像が、今なお日本でかなりの力を持つということ、そして河海の交通は明治から急速に衰え、島嶼・半島は社会・経済の発展から取り残されたのは明治以来の出来事だと主張している。実に大胆な主張で面白い!そして昭和の敗戦に至る大きな原因として、著者の明治国家への大きなマイナス評価を説明している。日本民族の優越性を日本人に植え付けた罪は確かに大きいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本史
感想投稿日 : 2022年3月3日
読了日 : 2022年3月3日
本棚登録日 : 2022年2月12日

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