シリーズ完結本。サブタイトルから日中の将来のことを予想したが、逆にこれまでの2000年を鳥瞰する内容だった。予想以上に関係が深く東アジア情勢を踏まえたものであったことは、卑弥呼、倭の五王の使節が中国でどういう意味があったのか。日本の文献(日本書紀など)には登場しないが、三国の魏、南朝の宋の歴史にはしっかり登場し、しかも随分詳しく書かれていることは全く知らなかった。そして遣隋使が煬帝に会った際に煬帝が機嫌悪かったのは「日出る処の天子…」よりも、むしろ、数年前に死去した父・文帝と勘違いされていたことではないかとの説明は面白かった。文帝は仏教を大切にする人として聖徳太子が憧憬していた人らしい。中国の歴史を振り返って、秦の時代の中国は面積では今の中国の3割程度、宋代には人口が1億人を突破していたこと、11世紀頃から北と南の人口は大きく濃度が未何へ移動していたことなどは覚えておきたい数字である。倭から日本への国号変更は唐の則天武后に「認められた」ことが大きいとの説明はそれほど日本が中国の権威に従っていたということを意味している。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
東洋史
- 感想投稿日 : 2022年8月10日
- 読了日 : 2022年8月10日
- 本棚登録日 : 2022年7月20日
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