自壊する帝国 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2008年10月28日発売)
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本棚登録 : 1090
感想 : 91
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ソ連帝国が内部から崩壊していく模様をソ連に深く人脈を築いていた著者の目でそのただ中に生きる人間たちの姿を生き生きと描いている。ラトビア出身でソ連を壊すために決意したサーシャとの交流。またリトアニア独立へ向けた最高会議場の中で共に過ごした日々。エリティンの台頭…。今のロシアでなぜゴルバチョフが嫌われて、むしろあのブレジネフの人気があるのか?それが納得できるように感じた。ソ連において無神論を研究するモスクワ大学の哲学科の学生も教授もほとんど隠れ信者とのサーシャの情報はそうなのだろうと思わせるところがあった。ロシア人の「旅の恥はかき捨て」「避暑地のセックス」という風俗にも驚き。ソ連社会がいかに爛熟し、人々も自壊を予想していたことも頷けた。この著者が本当に深く人脈を築いていたことには圧倒される。リトアニア独立に貢献した叙勲者の発表(1992年1月13日)に著者が入っていたというのは、凄い話だ!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 世界史(西洋中心)
感想投稿日 : 2021年1月23日
読了日 : 2021年1月21日
本棚登録日 : 2021年1月23日

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