龍時 03-04 (文春文庫 の 12-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年5月10日発売)
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感想 : 66

サッカー少年龍時も19歳。アテネ五輪代表としてピッチに立つ。実際にはアテネで予選リーグ敗退をしたことを私たちは知っていますが、この本では、地元ギリシャに勝つことにより、予選突破というシチュエーション。そしてトーナメントでは、スペイン、韓国を破りブラジルとの決勝戦。ロナウド、ロベカルら最高のイレブンにズタズタにされながら食らいついていく日本。ブラジルもスペインも予選敗退しているので、全てが虚構の世界ですが、完璧なストーリーに思わず、本当の決勝戦を見る思いで応援している自分を感じます。それも田中達也、大久保嘉人、高松、平山相太、石川直宏、阿部勇樹、松井、トゥーリオ、鈴木啓太、根本、茂庭、そしてオーバーエイジの明神、曾ケ端、田中誠らの姿が現実そのものと重なってくるからだと思います。その中に虚構のリョウジと梶の2人が完璧にマッチしています。(そのためか、不動のレギュラー・ボランチ今野の名前は全く登場しません)今回も、著者の巧みな試合場面の描写に関心した次第です。そして山本監督ならぬ平義監督とその奥さんの悲しい隠された過去が絡み合いながら、謎解きのような監督の心の動きの描写が彩をつけています。著者が自殺したことを知っている私としては複雑な心境です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: スポーツ(サッカー)
感想投稿日 : 2013年8月24日
読了日 : 2004年11月12日
本棚登録日 : 2013年8月24日

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